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愛人契約

今日の晩御飯はカレー。
私のカレーはこだわりがあって、ルーは3種類。
お気に入りのルーの中辛に、適当に選んだ辛口と甘口を全て混ぜ合わせる。
その後、インスタント珈琲やカレー粉も入れて、特製カレーの出来上がり。
サイトで出会った彼は既婚者だった。
ただ、彼の奥さんはいわゆるメシマズ嫁というやつで、料理が全くできないらしい。
だから、食事はいつも私と食べていた。
カレーは彼のお気に入りで、初めてカレーを出した時、うまいうまいと泣きながら食べている姿が印象的だった。
だから、結婚していると分かって、愛人契約を持ち出されても怒る気になれなかったのだ。
愛人契約を結ぶ時の言葉が、俺の為に月に1度でいいからカレーを作ってほしいだった。
カレーなんて誰が作ってもある程度おいしいと思うのだが、それができないからメシマズらしい。
その日も彼はカレーをうまいと言いながら食べていた。
ただ、いつもと少し様子が違って、「どうしたの?」と尋ねると、「嫁が妊娠した」と言ってきた。
私は愛人契約なのがわかっていたので、格別驚かなかったのだが、彼の悩みは別にあったようだ。
子供ができて、今の奥さんの料理を食べさせるのが不安だと。どうすればいいのか、そう悩んでいたのだ。
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私は、「カレーなら簡単だよ?」というと、彼は「教えて欲しい」と言ってきた。
それ以来、愛人契約は料理教室になった。
カレー以外にもいろんな料理を二人で作って、私はすごく楽しかったし、その後のセックスもいつもより燃えた。
ただ、子供が生まれると分かっているから、その幸せが期限付きのものであることもよくわかっていた。
最後の日、彼は私に言った。
「子供が大きくなったら、君のカレーを食べさせてあげるんだ。きっとパパ料理上手ってほめてもらえるよ」
彼はそう言ってほほ笑んだ。
私は、まだ見ぬ彼の子供が私のカレーを食べているのを思って、ほんのり切ない気分で彼の帰ったドアを見つめていた。

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